アルバイト

IMGP4188
ある昼下がり。
急に冷たい風が吹き出し,
空全体に広がる黒い影。
「ゴロゴロゴロ」
「ウヒャ~,雷だ~」
昨晩の天気予報には,カミナリのカの字もなかったのに。
急いで帰らねば。
と思ったtomoさん。

その脇を自転車に乗って,
疾風の如く過ぎ去る少年A。
その時,その少年Aが必死の形相で発した言葉が。
「感゛電゛ずる゛~」
「え?」


それを聞いた僕。
「う~ん。間違いではない」
そう思うのには理由があります。
昔々,かなり若かりし日の僕。
たいした実力もないのに,何でもできる様な大きな気持ちになって。
「脳天気なんだよね」を連発し。
やたら人や社会を批判していたころのお話です。

その時期,雷で怖い思いをしたことが2度ほどあります。
行動が伴わす偉そうな能書きを垂れていた時期と全く同じ時期。
今も伴ってませんが,大言壮語の癖はなくなったと思います。
これはきっと天からの怒りのメッセージなのかと思わせるような・・・。

「ゴロゴロ,ゴロゴロ。ピッカー・・・・・・ドッッカ~ン」
「ひえー」
「オヌシ。ナマイキダゾッ!すべてをよく見て。想像力を働かせるんだ!」
そう言われてるような気がしました。
まず一度目は,アルバイトの最中。
二度目は,大学から帰宅途中の道端。
凄かったんです・・・あまりにも。
ちびっちゃいそうでした。

まずはアルバイトの最中に起きた話から始めます。
夏休みの間だけと言う条件で,配送センターでアルバイトしました。
1日5000円です。
僕はそのころ,
1年とちょっとぐらいですが。
おじいちゃんがDIYでその昔に建てたアパートというちょっと凄いアパートに住んでました。
おそらく,10世帯というか10人ぐらいが居住できるんだと記憶してます。
お風呂はありましたが,もちろん共同です。
トイレは一つで水洗ではありませんでした。
肝心のキッチンはって言うとある事はあったんですが,洗い物ができる程度のものでした。
アジア系の外国人も住んでましたが,転居するまで一度も顔を見たことがありません。
僕を含めて多分3人から4人が住んでました。
そして,最大の魅力が家賃なんです。
これがですね月3000円なんです。
凄いでしょ。
入居したいと直接大家さんが住む母屋に行ったとき。
「家賃はおいくらですか?」
「3000円だよ」
「え?3000円?」
「おじいちゃんが自分でこさえたアパートだし,
かなり古くてそっちこっちにガタ来てるから3000円にしてんだ。
敷金とか礼金無いよ。
今月から入居するんだったら,途中からになるんで家賃は来月分からでいいから。
直接あたしのところに持ってきてもらえばいいよ」
おじいちゃんとは,
このおばあちゃん・・・大家さんはおばあちゃんなのですけど・・・夫の事をいってるのか,
おばあちゃんの祖父の事を言っていたのかは,不明なのですが。
もっと凄かったのは,家賃を滞納しても催促なしだったのですが,
それに甘えて,ほったらかしにしてたんです。
(ひどい奴です・・・本当に。)
数か月後,流石にこれはヤバイと思い支払いに行ったらですね。
「すみません遅くなりました」
「いいよ。いいよ。大変そうだね。半分にまけとっから」
「え?そんな。申し訳ないです遅れた挙句」
「いいの。いいの。気にしなくって。バイトしてるんでしょ」
と言って半額だけ受け取るんです。
彼女は僕の事を苦学生と勘違いしてたようです。
今思えば,と言うか当時だって考えられない事ですけど。
「いや~。本当にすみませんでした」といまさらながらに思います。
そんな中,
生活費と食費の足しと揮発性の魔法の水のためにのアルバイトだったのです。
配送センターと言っても百貨店の中に独立採算で成り立ってる運送会社で,
配達が主な仕事です。
配達には電化製品や家具などの組み立て調整及びセッティングや,
家具電化製品の回収なども有料で含まれています。
たまに,
お金が払えない(クレジットで購入)家庭に行って,
商品の回収を任されることもありました。
これはとっても嫌でしたね。
その助手として,正規社員の運ちゃんと一緒に2トンのパネル車に乗って,頑張ってたんです。
運ちゃん達は家具や電化製品のセッティングは,一応講習を受けているらしく。
流石にマニュアル無にスムーズな流れで処理していくんですね。
このセッティングも当然お手伝いします。
タッグを組む運ちゃんは日替わりなんですが,
いろんな人がいるんですよ。
そんな中でも割と頻繁にタッグを組む運ちゃん達がいました。

風間さん。
「都会人はな汗かかないんだよ。君はずいぶん汗かくね~」
だからナンダヨ。
ユーミンが好きなようで,事あるごとに
「ユーミンは**。ユーミンは**。東京のOLはさ~」
高校野球が大好き。で優先順位は 高校野球>配達。
朴訥な人でいい人なんですが,東京人に対するコンプレックスの固まりでした。

横山さん。
「さんま掴み取りやってるから,やってくべ~」
これには困りました,なんてったって一人暮らしだし,キッチンと言っても申し訳程度のキッチンしかないし。
この人は,こんな感じでいつも夕食の心配をしながら配達してました。
魚の特売は特に目の色が変わってしまい配達そっちのけになってしまうこともしばしば。
さらにこの人新婚さんで,配達途中家の近くを通ると寄り道していくんです。
僕を車に乗せたまま。
30分とか1時間なんです。
何やってたんだかわかんないですが。
1日5000円で雇われた身としては,全然問題ないのですが。
退屈なのはシンドかったですね。
どうも,この営業所の所長は気づいてる様で,
「横山お前は走りすぎだぞ~」とよく言われてました。
でも,そんな事意に介してなかったようです。
一緒に配達してると良く分かりました。

根岸さん。
「今度俺んちこねーか?俺よスカイラインの***に乗ってんだ」
***の部分は何を言ってるのか判りませんでした。
車は走ればいいという感覚しかなく。
ましてや車種などどうでもよかったので。
この人はセッティングを僕任せにしてしまったり,
特に暑くハードな行程の時機嫌が悪くなり,
僕が自力で作っていった弁当のサンドイッチがあるのを知っていても,
炎天下の食堂の駐車場に車を止めキーを抜くと,
とっとと食堂に入っていき冷やし中華を注文してしまうので,
とっても苦手でした。
どうしてもと誘われるので,一度だけ家に遊びに行ったのですが・・・・。
その時理髪店を経営してる奥さんを紹介されたのですが,その後すぐ離婚したそうです。
その後配達先でのトラブルが絶えないので,
内勤に変えられました。
機嫌のいい時はとってもいい人なんですが,
それ以外の時は性格が滅茶苦茶悪く八つ当たりばっかり。
特に立場の弱い人間には酷いもんでした。
自分の責任でなった二日酔いでもです。
酒が弱いのに頻繁に飲む。
だから,機嫌のいい時があまりない。
バイトにとっては最悪の人でした。

西嶋さん。
結構気遣いながら行動をする人で,
穴場のお弁当屋さんや食堂をよく知ってたし,
涼しい木陰にある水辺等お弁当を食べる穴場をよく知ってました。
お酒と女性が大好きで,配達しながらその話で盛り上がってました。
この人の家には何度か遊びに行きました。
公営住宅に奥さんと子供の3人暮らしだったと記憶してます。
根岸さんが彼を嫌っていて,
あからさまな嫌がらせをされいたようですが,
本人は全く意に介してないように振舞ってました。
何があったのかはわかりませんが,
暫く後に退職して,実家の布団屋を継いだって聞いてます。

黒田さん。
長距離専門の人でしたが,たまに一緒の事がありました。
引越し物件があった時です。
彼は,長距離になれてるせいか,ほとんど休憩せずに運転しまくるんです。
助手席の僕はいつもへとへとでした。
ある引越しの帰り道。
相変わらず休まず運転してる彼の横で,ただひたすら寝ないように踏ん張ってる時でした。
「ハハハハ」って笑い声が。
「どうしたんですか?」びっくりして聞くと。
「お前の顔ヒョットコみたいに尖がってたぞ」
「え?そうなんですか・・・・う~ん・・・それはですねきっと。
早く着くように風の抵抗を減らそうと無意識の内に,顔が流線形になってたんですよ」
「ハハハハ。な~るほど」

福士さん。
現場の統括なんであまり接点はないのですが,
現場や会社側からストレスを掛けられるとすぐにすねる人で,
面倒くさくなると,丸投げしちゃうような人でした。
だれかが配達先で猫を拾ってきちゃった事があるんです。
僕が配達から戻ってくると段ボール箱に入った子猫3匹を僕に見せるんです。
何も知らない僕は
「おお~,可愛いじゃないですか。どうしたんですか。この子猫」
「いや~, **が拾ってきちゃったんだよ。
君どうにかして?どうにもなんないんだったら,川にでも捨ててきてよ」
「え?」
所長と副長から転勤の話をほのめかされたと勘違いした彼は,
社内旅行をボイコット。
「お前行くよな」って僕に振ってきたんです。
「金ないですよ」
「そんなの判ってるよ。俺の代わりだからタダ。
百貨店と合同だから若い百貨店ガールも一緒だぜ。
お前行くよな!」
僕としては休み中だし,食費も浮いて揮発性の魔法の水も飲み放題なんですから。
「OKです」
ところが,夜になっても配送センターのグループはいつまでたっても旅館に行かないんです。
とうとう4トン車のパネルの中で,
「暑い暑い。かゆいかゆい」
言いながら夜明かししました。

平井さん。
この人も気遣いの人で,柔らかい物腰の人でした。
ある配達の時,
車を止めるスペースが無くて,民家の前の路上に停車したんですが。
家の中から頑固そうなおじいちゃんが出てきて,じっと見てるんです。
平井さんは
「すみません。配達中なんですが,止めると来なくて。配達御終ったらすぐ行きますから」
「じゃまなんだよ。あつくるしいし」
「・・・・・・」
「じゃまだって言ってんだよ」
平井さんブチ切れちゃって
「ウダウダ言ってんなよ。止めるとこね~から,すみませんてお願いしたじゃねーか。
思いやりってもんがね~のか」
普段話してても凄味のある声なんですが,パネルを開けて荷物を出してた僕もビックリ。
おじいちゃんびびちゃって,すごすごと家の中に引っ込んでいきました。
「いやだね~。あ~いうのってさ」
「は~。そうですね」
なんとなくビビリながら返事しました。
平井さんの家にはよく連れて行ってもらって,映画を見せてもらってました。
いろいろご馳走になりながらです。
同じ電気科の後輩たちも一緒に面倒見てくれててました。
いや~本当にありがたかったです。

他にもたくさんメンバーがいるんですが,あまり接点がなっかたので,忘れちゃいましたね。
(名前は全て実名ではありません)

そして西嶋さんとの配達の時
事故が起きたのです。
本当は根岸さんとタッグを組む日だったのですが,
根岸さんのわがままで急きょ変更になったのです。
とっても暑い昼下がり。
配達の途中から,雲行きが怪しくなってきていました。
そして,残る一件のテレビの配達とセッティング。
結構涼しくなってきていて,快適なドライブでした。
言い忘れましたが,
まだこの当時配達に使ってる車にエアコンは整備されてませんのです。
配達先の一軒家に到着した時には,
真っ暗になった空には稲妻が「ピカピカ」
そして,雨が「ポツリポツリ」落ちてきていました。
「さっさと済ませて,帰ろうぜ。今日は暑気払いだかんな。お前も出席するんだろ」
「もちろんです。がんばりますか」
家にテレビを運び込み,梱包を解いて。
西嶋さんがテレビのセッティングをしてる間に,僕が梱包をまとめて車に積む段取りをしてました。
外が真っ暗に。
「ピカピカ」って光っては「ズシーン」
家の中は真っ暗になり,電気をつけながらチューニングを継続してました。
その時,一段と輝く光とともに,ものすごい音がしたと思った瞬間。
チューニングのために人差し指でテレビのスイッチに触れていた西嶋さんの指先で
青い火花と共に「バッチッ」って音がして,身体が後ろに弾き飛ばされてました。
そして,電気が全て消え真っ暗に。
「大丈夫ですか」
どうしていいかわからず,とりあえず聞いてみたのですが。
「ウムムムム」とうなる西嶋さん。
配達先の電話を借りて,連絡しようとたのですが。
電話も不通になってました。
外は荒れ狂うような雷雨。
正直生きた心地はしませんでした。
しばらくうずくまっていた西嶋さんが,
「イテテテテテ」ていいながら目を覚ましたのです。
「大丈夫ですか」
「少し休ませてもらっていいか聞いて」
なんとか大丈夫なようなので,ほっとしながらも,配達先の家で少し休ませてもらう事にしました。
配達先の家の人は。
「裏庭で雷が地を這ってたましたよ。雷が多い場所なんだけど,こんなのは初めてだなや~」
1時間ほど休んで,天候も回復し,西嶋さんもなんとか歩ける様なので,会社に戻りながら病院へ。
診断結果はかるい火傷とのことでした。
「フ~」
そして,根岸さんとのタッグだったら,僕が感電してたんだな~って。
P8262788

次に,
帰宅途中に道端で遭遇した雷。
これは,完璧に僕を狙い撃ちにしたんだと思った瞬間です。
授業が終わって,
今日の夕食は何を食べようかな~?なんて考えながら。
(まっ考えても納豆か鯖缶なんですけどね。)
畑の中をプラプラ歩ってると。
生温かい風と,冷たい風が体の半分半部を締める様な変な天気に急変。
突然
「パシッ・・・・ドギューーーーーン。・・・・パラパラパラ」
頭の上から粉々になった白いものが降ってきました。
「ドッヒャ~」
って頭を抱え込んでしゃがみ込みました。
雷が配電線の碍子を直撃,
碍子が吹き飛び粉々になって降ってきたのです。
あたり一面に広がる焦げ臭いにおい。
上を見上げると,配線船が『ブラ~ン』と垂れ下がってました。
『雷が僕を狙ってる。ヤバイ逃げろ』
「感電する~」
とは考えませんでしたけど,とってもやばいと思った瞬間です。

P8171303


おまけ



***************** 追伸 *****************
跨線橋北側歩道から・・・脱走ワンチャンを発見。
P5313424
この後西側に向かって歩っていきました。
残念ながら跨線橋の上からだったので,確保は無理でした。
どこの,ワンチャンだろう?
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火星から来たBeth : Beth came from Mars.
2009年10月28日に火星から来ました。
Bethと言います。

Bethは,
宮城県動物愛護センターの譲渡会に参加して
(2009年10月28日)
譲り受けてきた犬です。
月齢3か月ぐらいと,スタッフの方が説明してくれました。
出生のすべてが謎に包まれた犬なのです。

Bethが我が家に来たのを機会にブログを開設しようと思い。
タイトルをどうしようか悩んでいる時・・・

札幌在住の友人が
「出生がわからないんだったら火星から来たことにすれば!」
で決まったタイトルなのです。

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We'll never leave here, never
Let's stay in here forever
And when the streets are quiet
We'll walk out in the silence
Listening to the music the machines make
I let my heart break just for a moment
Listening to the music the machines make
I felt the floor change into an ocean
We'll never leave here never
Let's stay in here for ever
And when the streets are quiet
We'll walk out in the silence
プロパ癌だ!


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