- プロローグ
- 山は不思議です。
疲れてもシンドクても,何故か楽しい。
疲れてシンドイのは・・・自分の力が足りないからと素直に受け取れる。
そういう言い逃れできない素晴らしさがあります。
今回はどこの筋肉にストレスがかかったとか,翌日の筋肉痛から,どこの部位の鍛え方が足りないとか。
いろいろ考えながら,次の山行のプランを立てる。
堪りません。
《今の体力・技術・経験≫と≪山の難易度≫の折り合いの着くところで計画。
登山口に立った時,にじみ出るアドレナリン。
フィールドの躍動感はたまりません。
自然の匂いの充満した山の中で,おもいっきり息を吸い込み血液に酸素が供給されるのを実感しつつ,精一杯考えながら歩く。
体力を振り絞ったあと,帰宅する車の中で,足の痛みや疲労を糧に。
もっと楽で,もっと楽しい山行の為にどんな準備をすればいいか考える。
「風の果て足るを知らず」なのであります。
貪欲にエネルギーを貪り食うのではなく,優しく共存していくためのプロローグだと思うのです。
三者三様と言うか,三者山容の楽しみ方と,疲れ方があることも身に染みて判ってきました。
山によって,使う筋肉,疲れる筋肉が違うものだという事も。
バックパックに川砂を入れて,階段を登れば万全だ!!というものでもないらしい。
山の歩き方のコツと言うのもきっとあるのだと思えてきました。
山に登るのは,山を制覇するのではなく,山に分け入り山との一体感を味わうためなのだと思います。
だから,山肌を岩肌を優しく踏みしめて,歩きたいと思うのです。
そう言う歩き方が出来れば,疲れは少なく,たとえ疲れても優しく心地よい疲労に変容すのだと思うのです。
やはりネックは,高所への畏怖かな~。
慣れるしかないのでしょうし,体力と体幹を得るしかないとも思うのです。
圧倒的な体力が欲しいですね。いまさらながらに思います。
何気に岩肌に張り付いてるような。
そんな憧れがあります。
山登りに向いていない初心者なりの,悩みは尽きないのです。
で・・・今回はいきなりなんですけど,数日前に計画しました。
計画は
だったはずでした。
実はこの計画の段階で,すでにミスを犯してました。
後烏帽子まで行って,ろうづめ平から股窪を経由して白龍の滝へ下るルートを考えて地図にルートをトレースしたのですが。
つまり上のルート図で間違いはないのです。
しかし,です。
なぜか,
間違ったルート図を作ってしまってました。
このルートでは,ろうづめ平から股窪は経由しません。
ダイレクトにえぼしスキー場に下りて行くコースになります。
何故にこんな事に?
上の2枚の地図。
左の地図は観光案内図で,右の地図は,有名な山と高原地図「蔵王 面白山・船形山」です。
計画時に左の観光案内図は確認してました。
しかし,山と高原地図は確認していませんでした。
去年買ったのに。
宝の持ち腐れですよね。
- 観光案内図で後烏帽子へのルートは,
- 前烏帽子からのルート。
- えぼしスキー場からのルート。
- ろうずめ平からのルート。
の三通りあるのが判ります。
しかし,何となく似たような方角から後烏帽子の山頂に続いてるルートに見えたのでしょう。
ここに,脳天気な勘違いの源が有りました。
- 右の地図で後烏帽子へのルートを確認してみると。
- 前烏帽子からのルート : 後烏帽子から東側に伸び。
- えぼしスキー場からのルート : 北東方向。
- ろうづめ平からのルート : 西側。
観光案内図と同じように三つのルートがあり。
と言うのがはっきり判ると思います。
国土地理院の電子地図上でルートをトレースしてるんですから,観光地図のせいにできない脳天気この上ないミスということになります。
観光地図だって明らかに違うルートですしね。
「ハ~。情けない」
当初の目的と違うルートで計画し,時間だけは当初の時間と言う変な登山計画になってました。
実際に歩くルートは,予定したルートより短い訳ですから,このミスは時間的な余裕を生み出しましたが。
逆だった場合は,ちょっと厄介な事になるとこでした。 - 5月21日に向けて前々日の夜から
- 登山届をつくり,県警地域課に提出。
- モンベル 野あそび保険 1泊2日 250円の申し込み。
これは傷害保険基本保障のほかに特約保障があり,その中には救援者費用等保障300万円がついてます。
ヘリコプターは一回の出動で消費する燃料は小型機だとリッター当たり3㌔。
大型機だと0.5㌔だそうですので。
請求書に燃料代と書いてあるかどうかはわかりませんが。
何かが起きた時。非常にありがたい保険なのです。
缶ビール500mlを1本がまんすれば,いいのですから。 - 山メシ・水・行動食
- 僕の今の体力では,結構ハードになる事を予想して,山メシは歩きながら食べれるホットドッグをチョイス。
6本作って4本持って行くことにしました。(残りの2本はお留守番の御駄賃としてtomoさんへ置き土産?)
行動食はピーナッツを中心に,300mlのボトルに詰め込み。
飲み物は,特性バイオドリンクレモン(塩分多め)500mlを3本と,水500ml1本を準備。
今日は雨も予想される空模様でして・・・そのあたりも考慮して準備。 - 5月21日(土曜日)
- 出発時間はちょっと遅れたけど6時15分。
到着は7時20分。
実は,えぼしスキー場の開門が8時だとは知らず。
「ガ~ン」
出だしからこれかよ~。
えぼしスキー場の駐車場にはたどり着けませんでした。
ここは,前烏帽子登山口の前にある駐車場?なのですが。
下山してから舗装道路を歩くのが嫌だったという理由で,えぼしスキー場の駐車場をチョイスしてました。
準備をしてると,同じように車でゲートの前まで来て「エッ」と言う感じの人たちがいました。
「フフフ」と自分の事を棚に上げてほくそ笑んだのでした。 - 登山口から前烏帽子
地図には載っていない沢を渡渉?
カエルの鳴き声?かな
小阿寺沢(こあてらさわ)を左手に見ながら歩き,まもなく渡渉(石の上)
時折見える青空が眩しく,とても気持ちが良いです。
緑色の染まる樹林帯。
深~く息を吸って・・・酸素を取り込み,エネルギーを体全体に
「フン」と行きわたらせ。
シロヤシオ(ゴヨウツツジ)の群生が,とても見事な登山道です。
そして,ゴツゴツしてます。
「おおお!」と声を上げてしまいそうなぐらい,見事なシロヤシオ(ゴヨウツツジ)の群生。
そして,またゴツゴツ
鬱蒼と木が茂った登山道は,光が直接差し込まない為。
コントラストがはっきりしません。
なかなかうまく撮影できないので,撮影するたびにバッグパックをおろし,岩に登ったりしながら「パチリ」
pcで確認すると,手ぶれ等で使えない写真が結構ありました。
「ブ~ン」
「ウギュ・・・ゴクリ」不覚にも飲んでしまいました「ウェッ」
「ウェッ?ウェッ!」
おおそうだ!虫よけタイプのウェトティッシュを持って来ていたのを忘れていました。
仁田沼に行った時,岩沼山の会のK.S氏に教えて頂いた虫よけウェットティッシュ。
今回の山行の為に購入し,持って来てました。
それを取出し早速お試し~とペタペタ。
エタノールが含まれているので,「ス~」っと気持ちよくなります。
まるでアフターシェーブローションの様な爽快感。
なかなかいい感じなので,ちょっとコマーシャル。
アース製薬 サラテクトティッシュ 15枚入
ヒンヤリした使い心地は,べたついた肌にとても気持ちよく。
まさしく髭剃り洗顔後のような爽快感が全身を突き抜けて行きます。
使用後は,チャック付のビニール袋に入れて,都度出して使ってみました。
スプレーよりも確実に肌に付着し,効果も長持ちしてるような気がします。
今回のトレッキングでは,一枚のウェットティッシュの使いまわしで間に合いました。
ポケットティッシュとほぼ同じ大きさで,携帯にも便利。
この登山道は,急な登りで展望も得られずに突然ヒョッコリ現れる前烏帽子頂上まで続きますが。
この展望が得られないというのは,僕にとってはこの上もなく素晴らしい環境?なので有りがたいのです。
ひたすら樹林帯の中を歩くのが,とりわけ大好きと言う訳ではないのですけど・・・個人的諸事情によります。
全て確認したわけではないですが,登山道には下から順番に番号が振ってありました。
下から順番にインクリメントしてると思い登ってきたのですが。
8の次が6で,その次が10?になってました。
(上の写真の1行3列目と4列目参照)
僕の登り方間違った?
6と9の振り方間違った?
でも6の横に前えぼし岳とわざわざ書いてあるし。
誰かが意図的に交換した?
そんなめんどくさい事しないよね普通は・・・
「???」
僕が間違ったのだとすると5から8まで直登し,6まで下って,6から10まで更に一気に直登した事になります。
そんな,体力は僕には無いです。
ただ,7は見つけられませんでした。
「ムムム,奇怪な!!」悩むことしばし。
(後日確認すると。このルートは,上に向かって1~11まで番号が振ってあるらしいのです)
頂上付近はルートがちょっと判りずらいところがありましたけど。
間違うかな~?。
(でもルートを地図上でトレースする時,間違ってたしね)
この6?9?の周りはショウジョウバカマが群生してました。
頂上付近には,ガクアジサイオオカメノキ(ムシカリ)。
ガクアジサイに似た花を咲かせるオオカメノキでした
6と9の奇怪な事件。
悩んでいても始まらないので・・・次回のペンディングという事にしておいて。
結果オーライという事で,前烏帽子頂上到着。
9時39分
岩の上には登らず。
脇の方からおそるおそる
屏風岳です。
次の目的地,後烏帽子。
- 前烏帽子から後烏帽子
-
なかなか気持ちのいい登山道です。
気持ちがいいついでに。岩を被うように生えた木の傍らで
エネルギー充填(ホットドッグ2本)しながら,10分程度休息。
後烏帽子到着 10時44分
頂上は結構広くて眺望もいい。
地に足がついた感じの頂上?です。
まずは頂上の景色を撮影して。
ホットドッグを取出し食べ始めようかなと思ったら
あっという間にガスがかかり,ぽつぽつと雨粒が落ちてきました。
取りあえず食い気を優先し,ワラワラと1本完食。 - 後烏帽子からえぼしスキー場ゲレンデ
- 頂上を探索する事もせず「トットと下りよう」ってことになりました。
この時はもう,スキー場へ下りるルートしか頭にありませんでした。
写真をよく見ると,頂上の標識の下の柱に,ろうづめ平とえぼしスキー場と書いてあります。
おそらくその下に矢印があるのでしょうね。
このまま本降りになる様であれば,このチョイスは間違いでないのでしょうが。
雨が降ってこなくても,同じルートで下りた可能性は,否定できないです。
これも次回のペンディングという事になりました。
今来たルートを下り,三分技を左へ。
割と大きな砕石を階段状に敷き詰めた登山道になってました。
「ウ~ンイマイチ」などと間違っていることに気付かずに,能書きは一丁前。
正面やや右に見える湖は,釜房湖です。
という事です。
頂上から〔ろうづめ平〕経由〔白龍の滝〕へ下りるルートを探索せず。
思い込んだルートを「トットと」下りてしまったのです。
それに気付いたのは,まさしく翌日の日曜日。
白龍の滝に行けなかった理由を検証しながらblogを書いている時でした。
そして,そのミスはさらなるミスを誘発している事に気づきました。
結構登りの登山客がいました。
30名ぐらいの団体さんと夫婦×2
時折冷たい強い風が吹き,ガスが忍び寄ってくるのを感じながら,最後のホットドッグをパクつき歩ってました。
そして,ガスだらけのゲレンデに到着。
ゲレンデのどのあたりに出たのか見当がつきませんでした。
ガスが酷くなって,見えなくなってきていたというのは言い訳にならないです。
何と言っても,ゲレンデの大きさを把握していなかったのですから。
ゲレンデと登山口の分技点が,ゲレンデの一番北端だという錯覚をしてましたし。
ここから更にミスを重ねるんです。
後で地理院地図をじっくり見てみると,点線で囲われている部分があり,これがゲレンデだという事が分かりました。
自分は地図をただ漠然と見ていたことになります。
間違った計画から更にどんだけ間違ったのかと言うと
上が間違った計画。
下が,その間違った計画から更に間違ったルート。
三界の滝の南側付近で円を描きながら歩いてるのは,白龍の滝付近を明らかに通り過ぎたことを理解。
戻ってみようかと無駄なあがきをした場所です。
「岩沼山の会の6月山行で来るからいいか~」と呟きながら。
惨敗に終わった山行に「トボトボ」と車に向かったのです。
もう一度上級者のゲレンデまで話をもどして。
えぼしのゲレンデは広い。
そして,上級者のゲレンデは,とってもキツイ。
でもそこで群生してるイワカガミを見つけました。
斜面がとても急なので,下から見上げる様に撮影できました。
こんなアングルで撮影されたイワカガミは珍しいと思います。
まだガスがかかっていたので,あまりうまく撮影できなかったのが残念です。
そして,苔
ガスが晴れてきたんですけど,時折雨が「ポツポツ」
カメラをレジ袋で包み,撮影するとき袋から出して。
の繰り返し。
ロープウェイ乗場(森の写真館)
上級者コースを下りながら,下に見える建物がロープウェイ乗場と森の写真館だという事が分かった瞬間。
今いる場所が,明らかに千年杉側から登るゲレンデの南側のルートとの合流地点で有る事。
そして,一番北端のゲレンデを下りてるというのは間違いであることに気付いたのであります。
レストハウス附近
推定遭難
計画の段階からズッコケ続けた今回。
計画の中で道に迷い,フィールドでも自分の位置をつかめず,まさに推定遭難と言えるものでした。
「地図を眺めてちゃダメデッセ。読まなければ。それもしっかり熟読しなければ」
足らないのは,体力だけではないという事を思い知らされ。
うず高く積まれたミスの山。
その山容に圧倒され。
頂上までの道のりは遠いと感じたソロトレッキングでした。